相続登記にかかる費用
1 相続登記とは
相続登記とは、土地や建物に関する権利者(つまり所有者)の登記名義を被相続人から相続人に変更する手続きを指します。
相続登記をすることによって、土地や建物が相続人の所有であることを公示できるようになり、当該土地や建物を売却することができるようになります。
2 相続登記にかかる費用
相続登記をする際に、全体としてかかる費用は以下の通りです。
① 相続登記の添付書類の費用
② 「登録免許税」という税金
③ 専門家報酬
以下、それぞれの費用について解説したいと思います。
3 相続登記の添付書類の費用
相続登記を申請する際に必要となる添付書類で、取得費用が発生する書類のまとめは以下の通りです。
①被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本:現在戸籍:450円、除籍・原戸籍:750円
②相続人全員の戸籍謄本:現在戸籍:450円
③印鑑証明書:300~450円程度(市町村毎)
④被相続人の住民票の除票:100~350円程度(市町村毎)
⑤不動産取得者の住民票:200~300円程度(市町村毎)
⑥固定資産税評価証明書:300~400円程度(市町村毎)
戸籍に関しては、一人の被相続人でも5~10通程度取得する必要があるため、被相続人1人・相続人2人の一般的な相続でも1万円程度の費用が添付書類だけで発生すると考えてよいでしょう。
4 簡単に登録免許税を計算する方法
登録免許税とは、登記・登録をする際に国に対して支払う税金を指します。
相続登記も例にもれず、登記に該当しますので、登録免許税を支払う必要があります。
参考リンク:国税庁・登録免許税の税額表
⑴ 登録免許税の具体的な計算方法
登録免許税の具体的な計算式は以下の通りです。
不動産評価額×0.004(0.4%を表している)
(例)
土地の価格:11,023,894円
建物の価格:4,893,234円の場合
まず、土地と建物の合計額を出します。
11,023,894+4,893,234=15,917,128
となり、1000円未満を切り捨てるので、15,917,000円が基準となる不動産評価額になります。
そして、上記の計算式に不動産評価額をあてはめます。
15,917,000×0.004=63,668
となり、100円未満を切り捨てるので、63,600円が登録免許税額となります。
したがって、相続登記を申請する際には、63,600円の登録免許税を国に対して支払う必要があります。
⑵ 令和4年の税制改正で免税になる場合があります
令和4年4月1日の税制改正によって、令和7年3月31日まで登録免許税が免税になる場合が延長されることとなり、一部の制度では免税対象となる範囲が拡大されました。
これらの免税措置は、いずれも土地に関する相続登記のみに適用され、建物に関する登記には適用されないのでご注意ください。
ア 相続により土地を取得した個人が登記を受ける前に死亡した場合の登録免許税の免税措置
まず、相続により土地の所有権を取得した相続人が、土地の相続登記をする前に死亡した場合には、令和7年3月31日までに、その死亡した個人をその所有権の登記名義人とするために受ける登記については登録免許税が課されません。
イ 不動産の価額が100万円以下の土地に係る登録免許税の免税措置
相続により取得した土地の価格が100万円以下であった場合で、土地の所有権移転登記もしくは所有権保存登記をする場合には、登録免許税を免税するという制度です。
5 専門家報酬
相続登記を司法書士や弁護士等の専門家に依頼する場合には、別途専門家報酬が発生します。
専門家によって報酬の金額は異なりますが、専門家報酬の費用の相場は5~20万円程度です。
しかし、相続人が3人以上いる相続や、何世代にも渡って相続登記がされていない土地等、難易度の高い登記であるほど費用が高くなる傾向にあります。