相続したマンションの名義変更手続き

文責:所長 弁護士 石井浩一

最終更新日:2024年07月19日

1 マンションの名義変更手続きには相続登記が必要

 マンションの一室を所有していた方が亡くなったとき、その相続人がそのマンションを相続する場合があります。

 その場合相続するものとしては、マンションの一室である専有部分(区分所有権)と、エントランスなどの共有部分(共有持分)、そのマンションが建っている土地についての権利(敷地利用権)があります。

 そして、マンションを相続する場合に、相続登記が必要となる部分が、マンションの一室部分である区分所有権と、土地に関する敷地利用権についての相続登記を行う必要があります。

 ただし、これらは1つの登記で管理されている場合が多く、その場合は、2つの登記手続きが必要となるわけではありません(区分所有権と敷地利用権をまとめて登記するようになったのは、1983年の区分所有法改正からですので、それ以前に所有したマンションの場合は別々に登記がされている可能性があります)。

 そして、相続登記は、2024年4月1日より、義務化され、原則相続したことを知った時から3年以内に相続登記をしないと、10万円以下の過料に課せられる場合がありますので、忘れずに相続登記をする必要があります。

参考リンク:東京法務局・相続登記が義務化されました

2 相続登記手続きの流れ(相続方法の確認まで)

 相続登記は、①相続方法の確認、②戸籍関係書類等の申請時添付書類の取得、③登記申請書の作成、④登記申請、⑤登記完了といった流れとなります。

 それぞれの手続について、簡単にですが紹介します。

 まず、①相続方法の確認とは、マンションを相続する際に、どのような理由で相続手続きを行うかが問題となります。

 遺言書がある場合は、遺言書に従って相続を行い、遺言書がない場合は、相続人間で遺産分割協議を行ったうえで相続登記手続きのために遺産分割協議書を作成する必要がある場合があります。

 そのため、マンションの所有者が亡くなった場合は、その人が遺言書を作成していないか調べる必要があります。

 遺言書が公証役場で作成された場合は、公証役場において、遺言書が作成されているかとその内容を調べることができます。

 参考リンク:日本公証人連合会・亡くなった方について、公正証書遺言が作成されているかどうかを調べることができますか?

 また、自筆証書遺言書を作成していた場合は、法務局の保管制度を利用していた場合は、法務局から通知が届く場合がありますし、問合せを行うことで遺言書を確認することができます。

 参考リンク:法務省・自筆証書遺言書保管制度

 これら制度を利用しても見つからない場合は、保管されていそうな場所を探す必要があります。

 遺言書がない場合は、遺産分割協議を相続人間で行う、法定相続分に従っての相続をするなどの手段を選択することになります。

 参考リンク:法務局・相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ

3 相続登記手続きの流れ(相続方法の確認後)

 相続登記の方法が確認できた後は、②申請時に添付する必要書類を集めたり、作成する必要があります。

 これは相続方法により、異なるものもありますが、共通する書類の1つとしては、相続関係が分かる戸籍謄本等を用意する必要がありますので、その戸籍の本籍地である市区町村に対して戸籍謄本等を集めることになります。

 その上で、③登記に必要な情報を記入した登記申請書を作成し、④登録免許税分の収入印紙を添付して相続するマンションがある地域を管轄する法務局に対して申請する必要があります。

 そして、申請書類や添付書類に問題があれば修正の連絡があり、⑤問題がなければ登記手続きは完了となります。

4 マンションの名義変更の注意点

 マンションの相続登記における登録免許税の計算は、区分所有権と敷地権利用権の2つを考慮する必要があるため、敷地権割合を考慮して土地の評価を調整したうえで、建物の価値を計算する必要があり、他の不動産と比べて複雑なものになる場合があります。

 また、他にもマンションだからこその名義変更をしなければならない手続もあります。

 たとえば、管理組合に関する名義変更手続きや、賃貸借契約に関する変更手続きです。

 マンションを相続した場合は、管理組合に連絡するなどして、建物や土地の名義以外にも名義等を変更するべき手続きについて、抜けがないように注意する必要があります。

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